何も要らない。
 きっと、何も手放せなくなるから。
 何一つ残らない事を懼れるならば、何も持たない方が良い。
 感情の片鱗さえ、持たないようにと。
 ずっとそうしてきた筈なのに。


 ねえ どうしてかしら?
 雨の後、高く遠く架かる虹を見て、貴方のことを思い出すなんて。




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008 : ふと見上げた空に、遠くかかる虹を見たら
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007 : 見返りは求めず、報われる事も願わずに と対。



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