004 : でも、あんなにも温かくて穏やかな場所、私は知らない。

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持っている物は、襤褸切れみたいな服と我が身を守る刃。
生きる事と殺す事が同義で、食べる為なら何でもやった。

知っている事は、夜空の深さと人の心の醜さ。
路地裏を彷徨っては、表通りの喧騒に吐き気がした。

明るい陽の光を浴びて大声で笑う人々を見ながら、
己を省みて目を逸らす。

親に叱られて喚く子どもに殺意を覚え、心に開いた穴に震える。

欲しいと思って。

願って、

焦がれて、

でも、一度も触れた事のない私には。

あんなにも、温かく、穏やかな、

場所も時間も。

手には出来ない。

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004 : でも、あんなにも温かくて穏やかな場所、私は知らない。