05. 「探しものは、見つかりましたか?」

(夏木くんと赤屍さん)

帽子から靴まで、黒で統一した長身の白い顔の男。
ツバの広い帽子の下から覗いている、切れ長の目。
「探し物は見つけられましたか?」
感情の読めない、安定した調子の低音。
「うん。手に入れたよ」
青年が頷く。曇りのない、あっけらかんとした答え。
「大事なもの。だから、執着するわけに行かない」
目的を果たせば、こだわりは不要。
切り捨てるのに慣れている徹底した現実主義者の目。
「・・・潔い方ですね」
青年を可笑しげに見つめて、男は笑った。

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written by ナルセ