04. 繋いだ手、絡めた指を解く事が出来なくて。
(夏木くんと薫流ちゃん)
遠い昔でさえ、繋いだことなかった長い指のすこし骨ばった手。
じかに触れる異性の指先、掌の体温。
「手、ひえてるね」
「放してくれ」
言葉とは逆に、彼女はきつく細い指を絡める。
これが最初だとしたら、もう次はない。
他人との距離に過敏な彼が許さない。
だから、自分もきかない。この瞬間は、我が儘を通す。
「今だけは、あなたの時間、わたしに頂戴」
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written by ナルセ